今回は、「ル・ポールのドラァグ・レース」のオールスター1から4までの中から、心に残るリップシンクを紹介したい。オールスターは、シーズン10までに出場した優勝者以外(一部例外あり)のクイーンのうち、カリスマ・ユニーク・タレントの素質が高いクイーン達が一同に集結するまさにオールスター同士の対決。さすが厳選されたクイーンだけあって、どの回もスキルとエンターテイメント性が段違いに素晴らしく、プロの技を感じる。そんな才能と個性がぶつかり合うオールスターから、私が独断と偏見で選んだリップシンクを5選紹介する。
◆目次
5. BenDeLaCremeが伝説となった日
Bebe Zahara Benet & BenDeLaCreme
オールスターズ3のエピソード6から。
エピソードが6まで進んだ時点で、5回トップ2に選ばれ、その5回のうち3回もリップシンクで勝利したBenDeLaCreme(ベンデラクリーム)。このエピソード6でもリップシンクに勝利し、脱落者を選ぶかと思われたシーンにおいて、BenDeLaCremeは突如自らが敗退する道を選んだ。
オールスターズ3でのBenDeLaCremeは、本当に圧倒的であった。コメディー・ダンス・ものまね、どれをとっても最高のプロの技で魅せてくれ、文句なしの白星で勝ち抜いてきた。そんな最中にくだした、同じ舞台に立つ仲間のクイーンを切るくらいなら自分が退くという潔い決断。自身の美学を貫き美しく胸を張って去っていった彼女は、オールスターズ3において誰もが認める真のクイーンであった。
【Song】 “Nobody’s Supposed to be Here ” by Deborah Cox
4. Rupaulが本気で大笑いする
Shangela & Trixie Mattel
ドラァグレース・シーズン2・3というドラァッグ学校を卒業し、大きくなって帰ってきたShangela(シャンジェラ)のコミカル・リップシンクが炸裂したオールスターズ3のエピソード7から。
今や歌に演技にビヨンセにと、大忙しいの人気者Shangela。シーズン2においてはそれほど活躍したようには見えないShangelaを、再びシーズン3で復活させたのはRuPaul(ル・ポール)なのかは定かでないが、現在活躍するShangelaの陽気で多彩な才能を、かなり早い段階から見抜いていたことには恐れ入る。(Shangelaは、ドラァグのキャリアが5カ月の時点でル・ポールのドラァグ・レースのシーズン2に出場を果たした)
そんなShangelaのパフォーマンスに、RuPaulが本気で爆笑する姿をぜひご覧いただきたい。ウィッグがずれてしまうのではないかと心配になるほど、大口を開けて顔全体で大笑いをしている。それを見ているだけで、つられ笑いをしてしまい、相乗効果でまた可笑しくなって笑ってしまう。
【Song】 “Freaky Money” by RuPaul feat. Big Freedia
3. 負けられない戦い
Latrice Royale & Monique Heart
オールスターズ4のララパルーザ・ラウンド4から。
一度敗退したクイーンたちが、残留しているクイーンと一対一で対決し負けた方がステージを去るという、残留クイーンにとっては割に合わない生き残りの決戦。以前の回でMonique(モニーク)がLatrice(ラトリス)退場させているものだから、このリップシンクは「因縁の対決」めいた様相を呈していた。
お互いに一歩も譲らない激しいダンス。開脚はあるはウイッグも衣装も飛ぶはで、ステージを所せましと縦横無尽に駆け抜け、これでもか!と二人共がハイパワーでけん制し合う。とはいえ、そのステージは実に見事!
【Song】”Sissy That Walk” by RuPaul
2. Naomiの動きに目が離せない!
Naomi Smalls & Monet X Chance
こちらもオールスターズ4の、エピソード8から。
Naomi(ナオミ)と言えば、顔が綺麗で手足が長くスタイルがモデル並みに、いやモデル以上に整っている。それでいて若くてファッションセンスが抜群で優しい。そんな彼女が、エンターテイメントにおいても、群を抜いたのがこのリップシンク!
人を惹きつける豊かな表情と、彼女の持つ体の特徴を最大限に活かした自在な動きで、笑いと共に視聴者とジャッジの心をノックアウトした。Naomiより20才も年上のLatrice Royale(ラトリス・ロイヤル)が大絶賛したほど。シーズン8ではあまり感じなかった彼女のガッツを、オールスターズ4では存分に発揮し、度胸のよさに度々感動させてもらった。Naomiからは今後も目が離せない。
154. Monét X Change vs. Naomi Smalls – Come Rain Or Come Shine pic.twitter.com/aazv1XTs9W
— #teamjaida #blacklivesmatter (@lgbtvelour) February 4, 2019
【Song】”Come Rain or Come Shine” by Judy Garland
1. 凄すぎる!全身全霊をかけた最高のリップシンク
Alyssa Edwards & Tatianna
今までに最も印象に残っているリップシンク・オールスターズ編は、文句なしでこの対決、Alyssa(アリッサ)とTatianna(タティアナ)!!オールスターズ2のエピソード5で披露された。
パッとみて分かる通り、どちらも見ていて惚れ惚れするほどのスタイルと美貌の持ち主で、ビジュアル面から存分に楽しませてくれる。しかしそれだけでなく、この二人はパッションでも魅せてくれるのだ。
一度脱落(sashay away)した二人が、次のステージへの挑戦権をかけた言わば、自身の首がかかったデスマッチであったのだが、あまりに素晴らしいパフォーマンスで、結果的には二人ともが残留(shantey you stay)という良い結果となった。
Alyssa Edwardsは元々ダンサーであり、ダンスを教える指導者でもあるため、過去リップリンクではダンスによって窮地を勝ち抜いてきた経緯がある。しかし、Tatiannaの多才ぶりには本当に驚いた。シーズン2に出演していた頃の彼女は、少し恥ずかしがり屋でとても可愛い印象があった。彼女が最初に出場したドラァグレース・シーズン2が放送されたのは、2010年。その後シーズンが進むにつれて凄腕のクイーンが続々現れる中、6年後の2016年のオールスターズ2に、前回足りなかった度胸を引っ提げてTatiannaは登場した。再び人々の印象に残るアピールをするため出場を決めたと語った彼女であったが、このリップシンク対決で本当に誰もが忘れられないクイーンとなった。
【Song】”Shut Up & Drive” by Rihanna