ラブコメを笑い、ラブコメに踊る!
【Netflix】映画「ロマンティックじゃない?」

ラブコメは楽しい。でも現実ではないことを私たちはよく知っている。なぜなら、仕事は楽しい時もあるが、ほぼ理不尽で成り立っていることを知っているし、好きな人と両想いになることがどれほど困難であるのかも熟知している。

だからこそ、男女が互いに好きになって障害を乗り越え、それっ!ハッピーエンド、なんてストーリーは、もはやアラサー・アラフォーの女子どもには通用しない。

仕事・お金・親・結婚、年を重ねるごとに鎧の装着は増すばかり…でも、そんな女性が一瞬でも鎧を脱いで踊ってみたくなる、それが映画がこの「ロマンティックじゃない? 」だ。



あらすじ

ニューヨークで建築家として働く主人公・ナタリー。幼い頃は、突然イケてる金持ち男に見初められるロマンティックコメディ映画の王道・プリティウーマンに憧れていた。しかし大人になってみると実際はどうだ?ボロアパート暮らしに、懐かない飼い犬、上手くいかない仕事に、男に見向きもされない私生活…。厳しい現実世界を生きる女子に、映画のようなラブストーリーはあり得ない、見る価値ナシ!と、ラブコメ映画を完全否定していた。

そんなナタリーは、ある日ひったくり撃退中に事故にあい、病院へ。目が覚めてみると目の前にはイケメン医師。セレブなアパートメントによく懐く飼い犬、さらにイケメン金持ちが何故かナタリーに一目惚れ、見るもの全てが現実世界と真逆なザ・ラブコメ・ワールド。必死に元の世界に戻ろうとするがなかなか戻れないナタリーが、この夢のような世界で気づいた事とは…


ラブコメあるあるのオンパレード

「ロマンチックじゃない?」は、ずっと笑ってみていられる明るくハッピーな映画だ。一番の笑いのツボは、皮肉たっぷりに詰め込んだ「ラブコメあるある」の数々。出会う男はだいたいイケメン。家も街も服装も無駄におしゃれ。不釣り合いな男性から言い寄られる。結婚式を止めに行くなどなど、見る者の「わかる~」や「やっぱり~」を引き出しながら、主人公ナタリー演じるレベル・ウィルソンの安定感ある痛快なコメディエンヌっぷりにケラケラ笑える。

さて、この王道を行く楽しいラブコメのどこが”ロマンチックじゃない”なのか。

まず、自分のこと好き?

「ロマンチックじゃない?」は普通のラブコメと何が違うのか、それは着地点。主人公が愛すべきなのは、必死になって手に入れた理想の王子様ではなく、自分自身だという点だ。
好きな男と両想いになって結婚する、それだけで自分の人生に満足できる!?それって本当にロマンティックなのか?と問うてくる。

自分を好きになる男なんているはずない。仕事で理不尽を頼まれても受け入れるしかない。本当は良くないとわかっているのに、嫌われるのが怖くて言い出せない。そんな卑屈で不自由な自分のままで、恋ができますか?
自分を好きになれてはじめて、相手を本気で好きになれる、それこそが真に「ロマンティックじゃないか!」と。

それに気づいたナタリーは、ようやく心を自由に表現し生きられるようになる。

最後はみんなでレッツ・ダンス!

「ロマンティックじゃない?」の原題でもある
Isn’t It Romantic??

この投げかけられた質問に「YES! Romantic!! 」と、高須クリニックばりに全力で同意したところで、突然の”Let The Music Play” 主役のナタリー筆頭に、華々しいミュージカルダンスへと突入する。

ナタリーのぼっちゃりなのにキレキレのダンスも最高だけど、ナタリーの恋敵演じるプリヤンカー・チョープラーの、ボリウッド仕込みのダンスがもう最高!イケメンクライアント役のリアム・ヘムズワースは、あおりの角度で何故かクールにトランペットを演奏しちゃってるし、ダンスシーンだけでも見どころがいっぱい。ニューヨークの街を巻き込んでの祝福ダンスに、心からハッピーな気分になれる。

最後の最後まで生きるパワーがみなぎり、最高にコミカルな映画「ロマンティックじゃない? 」は、生きるのが不自由だと感じ自信を失いかけている女性が、また再び輝きを取り戻すために見てほしい一本である。


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