ドラァッグクイーンは、メイクが上手い!自らにメイクを施すことを生業の一部としているのだから当然といえば当然だが、数いるクイーンの中でも素顔からは想像できないほどメイクだけで見違えるよう大変身するクイーンがいる。そして、アメリカのドラァッグクイーンは日本と違い、素顔を隠さずどんどん自身のインスタグラムにもアップしているから、ビフォーアフターがよくわかる。
数いる「ルポールのドラァッグレース」出場クイーンの中から、メイクの力でまさに神業のように美しく”大化けした”と思えるドラァッグクイーンを勝手に紹介する。
◆目次
ジュジュビー(Jujubee)
シーズン2とオールスター1に出場し、そのいずれもトップ4内まで行ったジュジュビー。ファッション・ランウェイ・メイク・ユーモアまで、多才なジュジュビーは、ラオス系アメリカ人である。
ビフォアーを見るとわかる通り、これぞアジア人!と思わせる容貌。日本人にも馴染みある筆で描いたような細い目と、広めのフェイスライン。それがひと度メイクを施すと、セクシーなアジアンビューティーへと変貌するから驚きだ。
2019年3月からは、シーズン1の優勝者べべ・ザハラ・ベネット、シーズン8のソージー・ソーと、シーズン9のアレクシス・ミシェルとジュジュビーの4人が、結婚式を控えた悩める花嫁を美しく変身させる「Drag Me Down the Aisle」というアメリカのケーブルテレビ番組でも活躍している。
デルタ・ワーク(Delta Work)
シーズン3に出場し、シーズン3で優勝したラジャ、マニラ・ルソン、カルメン・カレラの4人で「The Heathers」とグループを組んだデルタ・ワーク。ちなみにThe Heathersは、現在も仲の良い関係を続けている模様。デルタは、シーズン9からルポールのヘアスタイルを務めており、2018年にはエミー賞でベストヘアスタイリスト(ウィッグ)を受賞した。
ビフォアーのデルタは、ややぽっちゃり体系で派手な顔つきではない。それがメイクひとつで、ここまで美しくゴージャスに変身できるのだ。メイク後のデルタの少し寄り目がちなところが、女優のクロエ・モレッツに似ていて、個人的に好きな顔である。
タチアナ(Tatianna)
シーズン2とオールスター2に出場したタチアナ。オールスター2では、アリッサ・エドワードと壮絶なリップシンクを繰り広げ、二人ともがShate you stay(レースに残ってよい)となったドラァグレース史上に残る名シーンの立役者だ。
素顔は意外にも少し垂れ目の柔和な顔つき。シーズン2を見始めた当初は、素顔のタチアナとメイク後のグラマラスなタチアナとが、どうにも繋がらなかった。14歳からメイクをしているだけあって、メイク技術は筋金入り。タチアナは顔の美しさもさることながら、スタイルが抜群に美しい。顔はメイクで変身できても、スタイルだけは隠しようがないため、本当に羨ましい限りだ。2010年からは音楽活動にも力を入れているようだ。
トリクシー・マテル(Trixie Mattel)
初めて見た人が驚くようなメイク、それがトリクシー・マテルのメイクだ。ご覧の通り、素顔は優しそうななかなかのイケメン。これほどデコラティブにペイントを施しているにも関わらず、全体的には可愛く見えてしまうから実に不思議。メイクのトリッキーさと、時にオールディーズ、時にサイケデリックやカントリーにとカラフルに決めたファッションはどれも楽しく個性的で、見ていてほんわかハッピーになれるクイーンである。
彼女が強くインスパイアされているものの一つが、バービー人形である。子供のころバービー人形が持てなかったため、時を経てバービー人形に自らなってしまったのだとか。
シンガーソングターや番組のホストとして活動しているほか、ソロのコメディツアーで世界を回り大活躍している。
ブレア・セント・クレア(Blair St. Clair)
シーズン10に出場したブレア・セント・クレア。化粧での変身といよりは、マインドチェンジの方が近いのかもしれない。ビフォーアフターを見てわかる通り、素顔とメイク後では顔の素材自体に驚くような変化はない。しかしメイクをした途端に少年のような顔つきから、どこか危うげで妖艶な美少女へと変身する。その変身はまるで、別人格が憑依でもしたかのように見える。
シーズン10でルポールも彼女を「少年」と評していたように、ジャスティン・ビーバーのデビュー当時のような、まだあどけなさ残る十代半ばの少年に見えた。あまりに若く見えすぎるため、年齢を証明できるものを持ち歩いているという。メイク後は正統派美女グレース・ケリーのような、エレガンス溢れるまさに女優オーラをびしびし放っている。
シーズン10後は、歌でも活躍しており、彼女のデビューアルバムはビルボードのダンス・エレクトロニック部門で1位を獲得した。
ルポール(Rupaul)
神がかり的大変身で、この方を入れないわけにはいかない。ご存知ルポール!どのエピソードでも、ルポールのメインステージ登場が一番楽しみだと言っても過言ではないほど、どのドラァグクイーンよりも頂点にいるのはこのルポールであることを毎回魅せつけてくれる。
毎度きらびやかなファッションと、それにマッチしたメイクとウィッグは、まさに「ファビュラス」!ヌーディーであったりレインボーであったり、到底常人が真似できない手の込んだメイクを、これまた常人では考えられない抜群のスタイルと小顔で難なく融合している。ルポールのメイクは、プロメイクアップアーティストによって施されている。
30年以上もルポールのメイクアップを担当していたのは、ビヨンセやジャネット・ジャクソンのメイクも手掛けるメークアップアーティストのマシュー・アンダーソン(Mathu Andersen)。
メイクだけでなく、「ル・ポールのドラァグレース」番組内にも度々登場している。シーズン2のエピソード5では、ルポールと共にワークルームを訪ね、花嫁姿に挑戦するクイーンたちにメイクのヒントを与えた。同じくシーズン2のエピソード11で、トップ3に残ったクイーンたちが、ルポールのミュージックビデオ”Jealous of My Boogie” に出演する際のファッションとメイクのディレクションとしても参加した。
その後もシーズン3から7と、メイクのほか監督として、そしてゲスト審査員としても登場している。
シーズン9が放送された2017年からは、シーズン2で惜しくも優勝を逃し2位(オールスター1でも2位)となったレイヴン(Raven)が担当しいる。シーズン10でのレイヴンのメイクアップは、エミー賞の “Outstanding Makeup for a Multi-Camera Series or Special”という部門でノミネートされた。